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オーナーなら知っておきたい!

できるオーナーさんは、ジェネレーションギャップの「罠」に気を抜かない!

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20代、30代の会社員に尋ねたところ、3割近くが「ラウンジ・休憩室」「カフェ・コンビニ」「仮眠室」などのリフレッシュ空間が会社にあればよいと希望…。そんな調査結果を東京都渋谷区に本社をおく株式会社リアルゲイトが、この12月(2019年)に公表しています。

「社会人の『会社選び』に関する実態調査」と、題されたその内容をいくつかピックアップしてみましょう。なお、調査対象は、「社会人経験3年以上の20~50代の会社員553名」となっています。

冒頭、興味深い設問があります。そのひとつは、「初めて就職をした際、会社選びで重視したものを全て選んでください」…もうひとつは、「現在、会社選びをするとした場合、重視するものを選んでください」だそうなのです。

回答者の皆さんに対し、フレッシュだった最初の就職時の自分と、いまの自分との意識の違いを掘り起こしてもらっているのです。前者の順位はこうなりました。「初就職時」の意識です。

1位 仕事内容 …65.1%
2位 給与 …44.8%
3位 立地 …34.0%
4位 会社の安定性 …22.6%
5位 福利厚生・制度 …22.2%
6位 やりがい …19.9%
7位 人間関係 …17.9%
8位 オフィス環境 …12.5%
9位 会社の将来性 …11.9%
10位 特にない …9.2%
11位 キャリアアップ …8.0%
12位 その他 …1.3%

次に、後者の順位です。社会人経験3年以上を経た現在の意識です。

1位 給与 …67.8%
2位 仕事内容 …67.1%
3位 人間関係 …45.4%
4位 立地 …40.3%
5位 福利厚生・制度 …39.4%
6位 会社の安定性 …31.1%
7位 やりがい …28.9%
8位 会社の将来性 …21.7%
9位 オフィス環境 …21.0%
10位 キャリアアップ …12.3%
11位 特にない …5.8%
12位 その他 …0.5%

いかがでしょうか。まず目に付くのは、多くの項目で「現在」の方が初就職時よりも数字が増えていることでしょう。「初」の方では、重視した割合が30%を超えている項目は3つしかありません。「仕事内容」「給与」「立地」です。

ところが、後者の現在の意識の方では、30%超は6項目に増えています。「給与」「仕事内容」「人間関係」「立地」「福利厚生・制度」「会社の安定性」です。実際に働いてみることで、次に働く場所を選ぶためのポイントが判ってくる…。そうした単純な答えが表れているといっていい上記の結果です。

なかでも、目立った数字を示しているものといえば、「人間関係」です。初就職時における重視の割合は17.9%に留まっています。順位は7位です。それが「現在」の方では45.4%と大きく数字を増やしています。順位も3位へと躍進しています。これについては、ひと言「さもありなん」と、いったところでしょうか。

この調査では、ほかにこんな問いかけもされています。

「現在の会社選びにおいて、『リフレッシュ空間の充実』を重視しますか?」
「職場に望む施設はどれですか」

なお、当調査を行った株式会社リアルゲイトさんは、オフィス物件の企画・運営をする会社です。築古ビルの再生なども行っています。そのため、こうした働く皆さんによる、オフィスへ向けたニーズの掘り起こしにも力を入れているというわけです。

結果、たとえば前者「リフレッシュ空間の充実を重視しますか?」については、

20~29歳
…かなり重視する15.2% …重視する30.3%
合わせて45.5%が重視派

50~59歳
…かなり重視する3.8% …重視する18.9%
合わせて22.7%が重視派

このような世代間格差も示されるところとなっています。さらに「職場に求める設備」として、冒頭にも触れたとおり、20代・30代の3割近くが、

ラウンジ・休憩室
カフェ・コンビニ
仮眠室

といった、リフレッシュ空間を希望しているとの結果も挙がっています。すると、人生の先輩世代のオーナーさんの中には、もしかすると…

「ラウンジ?休憩室?会社は休む場所じゃない。働く場所だ。勘違いするな!」そんな風に思われる方もいらっしゃるかもしれません。とはいえ、思い出してみてください。

かつての日本の多くの会社のオフィスといえば、働く場所であり、かつ、働く人が大いにリラックスできる場所でもあった…そんな感じもしませんか? たとえば、デスクでの喫煙はどこの会社でも当たり前でした。

「昨日のジャイアンツ、だらしなかったね」の野球談義や、あれやこれやの雑談・放談、仕事中であってもし放題でした。会社の電話を使っての私用電話も、ほぼ咎められることはありませんでしたね。

ですが、いまはそうではありません。多くのオフィス環境が、目の前の仕事への集中を強く要求される厳しいものになっています。なので、おそらくはそうした背景があっての「リフレッシュ空間がほしい」なのです。有為の人材を失わないため、企業側もこうしたことには切実です。

そこで、賃貸経営です。賃貸経営は、顧客と経営する側とのジェネレーションギャップが表れやすい事業といわれています。シニア世代の皆さんも多いオーナーさん側の常識や感覚が、若い入居者さんのニーズをうまく捉えきれていないことがよくあるのです。

さまざまなケースが見られますが、たとえば、あまり指摘されていないひとつを挙げてみましょう。

それは、郵便受けです。昔はいわゆる「手紙」を受け取るのが郵便受けの役目でした。折りたたんだ便箋や書類が入った小さな封筒、そしてハガキです。ですが、いまはA4サイズいっぱいの冊子・パンフレットが入った大型封筒や、ゆうパケット等の「荷物」が、郵便受けで受け取るもののメインとなっている場合も多いはずです。

それなのに、賃貸住宅の郵便受け・ポストといえば…? 相変わらずの小さなサイズのものが、いまだにあちらこちらで目立っています。配達物が差し入れ口からはみ出ていて、鍵がまったく用を足していない、防犯上危うい風景もよく見られます。

こうした状況を目にすれば、時代の常識に敏感なオーナーさんは、すぐに手を打ちます。大型サイズの郵便受けに換えてしまいます。そういった細かく小さなところから、競合物件に対して賃料1日分の差をつけ、1ヶ月分の差をつけ…

やがて1年分、数年分の差をつけていくわけです。

(文/朝倉継道 参照元/株式会社リアルゲイト 画像/123RF)

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この記事を書いた人

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